辛い経験もポジティブに変換。将来は台湾と日本の架け橋に
こんにちは。外国人採用サポネット編集部です。
日本に留学中の外国人学生たちの多くがアルバイトをしながら留学生活を送っています。
そこで今回は、台湾から日本に留学する傍ら焼き肉店でアルバイトをしていたチョウ・カイテキさんにインタビューをしました。辛い経験をポジティブに考えて乗り越えたエピソードや将来についてお話いただきました。
会社の研修を機に日本へ留学
―日本に留学するきっかけを教えてください。
実は元々日本に留学しようと思ったことは1回もなかったのですが、ちょっとした巡り合わせで働いていた会社の研修プランで日本に留学することになりました。今は日本溶接構造専門学校に通っていますが、去年まで日本語学校に通いながらアルバイトをしていました。
―留学前に日本に来たことはありましたか?
留学に来る前、5回日本に行きました。5回とも旅行です。ツアーもあるし、個人旅行もあります。日本は観光地として本当に素晴らしくて、何回来ても飽きることは決してないと思っています。とはいえ、日本に留学したのをきっかけに、生活することと旅行することはやはり随分相違があることを実感しました。
夢だった日本の飲食店でアルバイト
―チョウさんは日本に留学しながらアルバイトもしていたんですよね。どんなお仕事をしていましたか?
食べ放題の焼肉屋さんのキッチンで働いていました。始めたばかり時の主な仕事はお皿洗いでしたが、だんだん他のポジションの仕事も身に付けて、少し経ってからはお客さんに提供するお肉の用意と食材の仕込みがメイン業務になりました。お皿洗いは一見簡単に聞こえると思いきや、実際にやって見ると、決して安易とは言えないと思います。どうやって要領良く短期間に想像もつかないほどのお皿を洗い切れるか、色々工夫を凝らす必要があると思います。さらに、お肉の用意は、私に言わせれば正しく戦場で闘うようなことです。忙しい時、たとえ六本の腕があっても足りない感じがよくしました。ただお肉をお皿に盛り付けるだけではなく、お肉の種類による特性を考えた上で、最も新鮮な状態で一刻も早くお客様に届けるように取り組んでいました。
―1つ1つの業務に工夫を凝らして取り組んでいたんですね。そもそもなぜ焼肉屋さんで働き始めたんでしょうか?
ずっと日本の食文化に興味があったので、飲食店のアルバイトを探していたんです。実は、焼肉屋さんに採用していただく前、カフェとお寿司屋さんの面接に落ちてしまいました。その時、少し落ち込んでいて諦めるところだったんです。でも、せっかく日本にいるので、アルバイトをなんとしても経験したいと思いました。’’何事も三度だ’’という気持ちで、もう一度挑もうと思って焼肉屋さんに応募しました。気持ちだけでうまくいけるとは思わなかったので、同じ学生寮に住んでいた先輩にアドバイスをもらって挑戦したところ、やっと採用されました。採用されたことを知ったとたん、あまりの感激で、拳を強く握り締めました。今思い出しても、胸がじーんとします。その時の私にとって、採用されたことはまさに自分への肯定みたいなものでした。
日本で働いた感想
―日本で働いてみてどうでしたか?
全般的に言うと、職場の雰囲気がよかったと思います。わからないことがあれば店長も同僚も親切に教えてくれる環境でした。しかも、同僚との会話や日本人の仕事ぶりを見ることで、日本人の考え方や仕事に対する姿勢などが一層わかるようになりました。
ただ、店によって違うと思うのですが、私が働いていた店では2人で4人分の仕事をすることもしばしばありました。当日の状況によっては残業する場合も少なくなかったです。
―アルバイト中に大変だったことはありますか?
一番大変だったのは人間関係です。ほとんどの日本人は礼儀正しく親切ですが、全員がそうとは限りませんでした。仕事を始めたばかり時、同僚との間に壁がある感じがものすごくありました。例えば、私がある同僚に仕事のやり方を聞いた時、その人は冷たい感じで「そんなことわからないよ」と言いました。仕事がものすごく忙しくなっても全然手伝ってくれませんでした。その時はややしょんぼりしていましたが、その人に出会ったのをきっかけに、自分からもっと積極的に行動して人とのコミュニケーションを取ろうと決意しました。それで、人間関係が好転すると同時に仕事もだんだん順調にできるようになりました。
―日本で働いて台湾と違うと思ったことはありましたか?
教育訓練、いわゆる研修制度の違いがあると思います。日本の多くの会社は研修制度をきちんと整えていると聞きます。焼肉屋さんで働いていた時、マニュアルには仕事に関する注意すべきことや要領などが詳しく書いてあるので、新人にとって非常に役に立つと思いました。一方、台湾では、大企業はともかく中小企業やお店などで働く場合は体系的な教育訓練はほとんどありません。私が台湾にいた時の仕事の経験では、マニュアルのようなものもないし、研修制度もありませんでした。ほとんどは先輩の仕事ぶりを見ながら学ぶというふうにやっていました。
日本での生活について
―日本で暮らしてみた感想を教えてください。
やはり日本は安全な国ですよね。台湾も安全だと思っていますが、日本の治安の良さは別格です!日本の治安の良さは明らかに他の国よりいいどころか、日本にはまるで泥棒が存在しないかのように感じられます。例えば、公衆便所でたくさんのトイレットペーパーが置いてあったり、財布を誰でも簡単に取れるようにズボンの後ろのポケットにそのまま入れていたりと、台湾ではそのようなことをしても安心して過ごせる自信がないです。
それに、日本料理は多種多様で、美味しい食べ物が数え切れないほどあります。自炊の場合でも困ることはないです。スーパーでほとんどのものが買えるし、品物も豊富だし、すごく便利です。
―逆にマイナス面はありましたか?
ほとんどの日本人は礼儀正しく、また他人の迷惑にならないように生活している感じが強くするので、住みやすい国だと思います。ですが、日本人は他人に迷惑をかけないようにする反面、冷たい感じもよくします。もちろん地方によって若干違いがあると思いますが、できるだけ知らない人と関わらないように行動している感じがします。例えば、私が住んでいる学生寮の食堂では、元々友達同士は別として、他人と全く会話しないんです。日本人に対しても外国人に対しても他人とは会話していないように見えます。外国で一人暮らしの外国人にとってやや物寂しく感じます。
また、私にとって日本の物価は高いです。自炊はともかく、外食の場合は一番安いものを注文しても、随分お金がかかります。電車代は台湾のおよそ3倍近くかかるので、交通費はびっくりするほど高く感じますね。
今後のキャリアプラン
―今後の自分のキャリアプランについて教えてください。
元々台湾の会社の研修プランで日本に来たので溶接に関する知識と技術を身につけて卒業した後は台湾の会社に戻るつもりですが、もし機会があれば、日本で就職して経験を積み重ねるのも一つの選択だと思っています。台湾に帰国する場合は自分の日本語スキルを生かして日本と台湾のパイプのような役割を果たしたいと思います。会社が日本に進出できるように頑張るつもりです。
日本企業へのメッセージ
―最後に、これから台湾人の採用する日本企業へのメッセージをお願いします。
もしチャンスがあれば、ぜひ台湾人を採用してみてください!自慢だと言われるかもしれませんが、私は台湾人には根性とスキルがあると思っています。台湾は小さい国なので、この土地で育った後に広い世界に出て活躍することに憧れを抱く人が大勢います。世界に出るために相当の努力を重ね、覚悟を持った上で日本にくる人は決して少なくありません。台湾の生活と教育の環境で成長してきた台湾人を適材適所に配置すれば、日本企業に大変役立てると思います。
※2020年6月インタビュー実施